不動産投資の審査に落ちる理由7選|サラリーマンが改善すべきポイント

不動産投資の基礎知識・初心者ガイド

不動産投資を志すサラリーマンにとって、最大の難所となるのが「金融機関による融資審査」です。どれほど収益性の高い物件を見つけ、綿密な運用シミュレーションを描いたとしても、銀行から「否決」の回答が下れば、その投資プランはすべて白紙に戻ってしまいます。近年、不正融資問題を受けた金融庁の監督強化により、審査基準はかつてないほど厳格化しており、事前の準備なしに突破することは困難です。

本記事では、多くの投資家を支援してきたプロライターの視点から、審査に落ちる人の共通点と、その裏側にある銀行の評価ロジックを徹底的に解剖します。なぜ「高属性」とされるサラリーマンが落とされるのか、その意外な盲点を明らかにするとともに、再挑戦で融資を引き出すための具体的な改善ステップを提示します。この記事を読み終える頃には、あなたが次に取るべきアクションが明確になっているはずです。


【この記事で分かること】

  • 銀行が「年収の額」よりも重視する「収入の質と安定性」の評価基準
  • 転職、副業、独立が融資判断に与える具体的なリスクと許容範囲
  • 信用情報の「傷」を自己確認し、審査への影響を最小限に抑える方法
  • 審査落ちから逆転するために必要な「属性改善」と「物件選定」の戦略

不動産投資で審査に落ちるサラリーマンに多い共通点

不動産投資ローンの審査は、住宅ローンとは比較にならないほど多角的な視点で行われます。住宅ローンが「個人の支払い能力」を重視するのに対し、不動産投資ローンは「個人の属性」と「事業としての収益性」の両輪で評価されるからです。多くのサラリーマンが「年収さえ高ければ大丈夫」と過信し、準備不足のまま申し込んで失敗しています。ここでは、審査落ちを経験する人が陥りがちな共通のポイントを深掘りしていきましょう。

年収が足りないと思い込んでいるが実は評価ポイントがズレている

不動産投資において、年収は重要な指標ですが、単に「額面が大きい」だけでは不十分です。銀行が真に見ているのは、その年収が「将来にわたって継続されるかどうか」という確実性です。例えば、外資系企業や歩合制の強い営業職で年収1,500万円という方よりも、年収800万円の公務員の方が「属性が高い」と判断され、より好条件で融資を受けられるケースは非常に多いのが実情です。

また、年収の計算において「節税」が仇となることも少なくありません。既に不動産を所有している、あるいは副業を行っている方が、確定申告で過剰に経費を計上して「所得」を圧縮している場合、銀行はその「圧縮された後の金額」をあなたの返済能力として評価します。帳簿上の赤字は、銀行から見れば「事業の失敗」あるいは「返済原資の欠如」に直結します。

さらに、年収に対する「借入金の総額」も厳しくチェックされます。年収が1,000万円あっても、既に住宅ローンや他社の投資用ローンで年収の10倍近い借入がある場合、新規の融資は極めて難しくなります。銀行は、あなたの給与から既存の返済を差し引き、さらに生活費を引いた後に「いくら手元に残るか(可処分所得)」を1円単位でシミュレーションしています。


年収評価を左右する要素

雇用形態の安定性 公務員や上場企業の正社員は、リストラのリスクが低いため、将来の給与予測が立てやすい。   収入の構成要素 基本給の割合が高いほど評価され、賞与やインセンティブの割合が高いと「変動リスク」として低く見積もられる。   所得の継続性 直近3年間の源泉徴収票を比較し、年収が維持、あるいは上昇傾向にあるかを確認される。

参照元:金融庁:投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果

勤続年数が短いと不動産投資ローン審査で不利になる理由

不動産投資ローンは、20年から35年という長期にわたる融資です。これほど長い期間、銀行があなたにお金を貸し続ける根拠となるのが「今の会社で働き続けること」への信頼です。そのため、勤続年数は銀行のスコアリングシステムにおいて、非常に高い配点(ウエイト)を占めています。一般的に、勤続3年以上が「合格ライン」とされ、1年未満の場合は土俵にすら乗れないことが大半です。

勤続年数が短いと、銀行は「この人はすぐに仕事を辞めるのではないか」「今の職場で人間関係を築けているのか」という疑念を持ちます。不動産投資は空室や修繕といったリスクが常に付きまといます。その際、本業の収入が不安定であれば、ローンの返済が滞るリスクが飛躍的に高まると判断されるのです。

また、転職の回数も重要な指標です。30代で既に5回以上の転職を繰り返しているような場合、たとえ年収が上がっていたとしても「忍耐力や継続性に欠ける」とみなされます。キャリアアップのための転職だとしても、融資審査においては「リセット」に近い扱いを受けることを覚悟しておくべきです。

勤続年数別の審査目安
  • 3年以上
    標準的な基準。ほとんどの金融機関で審査対象となり、金利優遇も受けやすい。  
  • 1年以上
    3年未満 審査対象にはなるが、自己資金(頭金)を2割以上求められるなど、条件が厳しくなることが多い。  
  • 1年未満
    原則として「否決」される可能性が高い。ただし、同業種内でのヘッドハンティングなど明確な理由があれば交渉の余地あり。

転職直後・副業収入ありは審査でどう見られるのか

現代の働き方において「転職」や「副業」は一般的ですが、伝統的な銀行の審査基準は依然として保守的です。転職直後の場合は、前述の通り収入の安定性を証明する資料(源泉徴収票)が揃っていないため、審査がストップしてしまいます。最低でも転職後1回目の源泉徴収票が出るまでは、大きな融資を引くのは難しいと考えた方が賢明です。

副業収入については、確定申告をしていても「本業の年収」に合算してもらえることは稀です。それどころか、副業に時間を割きすぎることで本業がおろそかになり、解雇や給与減額のリスクがあるのではないかと、ネガティブな捉え方をされるケースすらあります。特に、副業の事業内容が不動産賃貸業と関連性が低い場合、その収益は「一時的なもの」とみなされます。

ただし、副業を法人化しており、その法人が3期連続で黒字決済を出しているような場合は、法人としての信用が個人の属性を補完することもあります。いずれにせよ、副業は「プラスアルファ」程度に考え、本業の給与収入だけで返済が回ることを証明するのが審査突破の近道です。

状況審査への影響度銀行側の心理
同業種へのキャリアアップ転職収入の継続性は認められるが、定着するかどうかを見極めたい。
異業種・未経験職種への転職収入が激減するリスク、早期退職のリスクが非常に高いと判断。
副業収入がある(確定申告あり)収入としては合算しないが、本業の安定性が損なわれないか注視。
転職後1ヶ月〜3ヶ月極高試用期間中であることが多く、原則として融資対象外。

参照元:厚生労働省:副業・兼業の促進に関するガイドライン

クレジットカードやローン履歴が信用情報に与える影響

「自分はホワイトな属性だ」と自負しているサラリーマンが、最もショックを受けるのが「信用情報」による否決です。銀行は審査の初期段階で、必ずCIC(指定信用情報機関)などのデータを参照します。ここには、あなたの過去5年〜7年の金融取引がすべて記録されており、隠し通すことは不可能です。

深刻なのは、クレジットカードの「枚数」と「キャッシング枠」の設定です。使っていないカードであっても、合計のキャッシング枠が300万円あれば、銀行は「この人はいつでも300万円の借金ができる状態にある」とみなします。この潜在的な負債額が、不動産ローンの融資限度額から直接差し引かれることがあるのです。

さらに、「支払い忘れ」の記録は致命傷になります。数千円の引き落としが1日遅れただけでも、記録上は「延滞」となります。特に「A」マークと呼ばれる未入金の記録が直近2年以内に並んでいると、メガバンクや低金利の地方銀行の審査はほぼ100%通過しません。100円の未払いが、数億円の融資を阻む壁になるのが信用情報の恐ろしさです。


信用情報の主なチェック項目

異動(ブラックリスト) 過去に61日以上、または3ヶ月以上の延滞があった場合に記載。この文字があれば、最低5年は融資不可能。   申し込み履歴 半年以内に多量のカードやローンを申し込むと「資金繰りに困っている」とみなされる(申し込みブラック)。   キャッシング・カードローンの利用 たとえ少額でも、消費者金融等からの借入がある場合、投資家としての適格性を疑われる。

参照元:指定信用情報機関(CIC)

車のローンやリボ払いが審査落ちにつながるケース

サラリーマンの生活において、自動車ローンは一般的ですが、不動産投資の世界では「最大の天敵」の一つです。自動車は購入した瞬間に価値が下がる「消費財」であり、その返済は純粋なコストとなります。銀行はDSR(総返済負担比率)という指標を重視しており、年収に対する「年間返済額」の割合が一定(通常30%〜35%)を超えると、融資はストップします。

例えば、年収700万円の人が、車のローンで毎月6万円(年間72万円)を支払っているとします。これだけで年収の10%以上の枠を使い切ってしまいます。この6万円の支払いがなければ、不動産投資ローンとしてあと2,000万円から3,000万円多く借りられたはず、という計算になるのです。

さらに、最も警戒されるのが「リボ払い」です。リボ払いは実質年利15%前後の非常に高い金利が発生する借入方法です。これを利用しているというだけで、銀行員は「この人は金融リテラシーが低く、将来的に破綻する可能性がある」という強い偏見を持ちます。リボ払いの残高がある状態で審査に通ることは、極めて稀と言わざるを得ません。

借入の種類と審査への影響度
  • リボ払い・キャッシング
    最悪の評価:審査前に一括完済し、解約証明書を出すことが前提となる。  
  • 自動車ローン
    大きな影響:完済するか、融資額の大幅な減額を覚悟する必要がある。  
  • 奨学金
    比較的寛容:ただし、延滞がある場合は別問題。返済比率には確実に計算される。  
  • エステ・英会話等のスクールローン
    贅沢品や消費目的の借入とみなされ、生活管理能力を疑われる要因になる。

過去の延滞・滞納が不動産投資審査に与える致命的影響

「支払いの遅れ」といっても、カード会社や銀行への返済だけではありません。近年、銀行が厳格にチェックしているのが「公的な支払いの遵守」です。具体的には、所得税、住民税、健康保険料、年金、そして公共料金の支払いです。これらは国民の義務であり、これを怠る人物に、巨額の融資を実行することはコンプライアンス上許されないという考え方が浸透しています。

特に税金の滞納は、銀行にとって「最優先の差し押さえリスク」を意味します。税金を納めていない場合、国や自治体が物件を差し押さえる権利を優先的に持ちます。銀行からすれば、担保とした物件を国に持っていかれるリスクがある人にお金は貸せません。そのため、納税証明書(その1・その2)に「未納」の記載が1円でもあると、その時点で審査は打ち切りとなります。

また、意外な落とし穴が「スマートフォンの割賦販売」です。端末代金を通信料と一緒に分割で払っている場合、引き落とし口座の残高不足で1日でも遅れると、それは「通信料の遅れ」ではなく「割賦金の延滞」としてCICに記録されます。若手サラリーマンに多いこの「うっかり延滞」が、将来の資産形成を阻む最大の罠になっています。

滞納が及ぼす影響の期間
  • 租公課(税金)
    過去3年分程度の完納を求められることが多い。延滞した事実そのものが「誠実性」の評価を下げる。  
  • 社会保険・年金
    最近は融資の必須条件として納付状況を確認する銀行が急増している。  
  • 公共料金(電気・ガス・水道)
    信用情報には載らないが、銀行取引履歴(通帳のコピー)で支払いの遅れがバレる。

参照元:日本信用情報機構(JICC)

自分では気づきにくい「信用力が低い人」の特徴

銀行の審査は、数字(年収や勤続年数)だけで決まるわけではありません。最終的には、担当者や融資課長、支店長という「人間」が判断を下します。ここで問われるのが、あなたの「投資家としての資質」と「人間的な信用力」です。

銀行の担当者は、最初の問い合わせから面談時の立ち振る舞いまで、すべてを観察しています。例えば、提出書類をスマートフォンのカメラで撮影した影だらけの画像で送ったり、期限を何度も破ったりする人は、「物件管理も杜撰になるだろう」と判断されます。不動産経営は、長期にわたる緻密な経営管理が求められる事業です。書類一枚の扱いができない人に、数千万円、数億円の事業を任せられるはずがない、というのが銀行の論理です。

また、「不動産業者に言われるがまま」という姿勢も危険です。物件の収支やリスクについて質問された際、「業者が大丈夫だと言っていました」という回答を繰り返すと、「この人は主体性がなく、トラブルが起きた際に自力で解決できない」とみなされます。銀行は、サラリーマンではなく「経営者」にお金を貸したいのです。

信用力を下げるNG行動
  • 提出書類の不備・遅延
    「だらしない人」というレッテルを貼られ、審査の優先順位が下げられる。  
  • メインバンクの預金残高が常に少ない
    給与が入っても月末にはほぼゼロになるような「貯金ができない体質」は、修繕リスクに対応できないと判断される。  
  • 情報の隠蔽(嘘をつく)
    他社からの借入や過去の失敗を隠そうとする。銀行は調査ですべて把握するため、嘘が発覚した瞬間に「不適格者」となる。

不動産投資の審査に落ちた後に見直すべき改善ポイント

一度審査に落ちたからといって、不動産投資を諦める必要はありません。審査落ちは「今の戦い方では勝てない」という市場からの明確なフィードバックです。むしろ、無理な融資を受けて将来破綻するリスクを未然に防げたと前向きに捉えましょう。ここからは、敗者復活を期すための具体的な「属性改善」と「戦略の練り直し」について、プロの視点で徹底的にアドバイスします。


【以下で分かること】

  • 自分の適正な「借入枠」を算出し直し、現実的な物件価格を再設定する方法
  • 住宅ローンが残っている人が、投資用ローンを並行して組むためのテクニック
  • 金融機関ごとの「融資方針」の違いを理解し、勝ちやすい窓口を選ぶ方法
  • 自己資金を増やすことで、銀行の担保評価不足を補う具体的な基準

不動産投資ローン審査に通りやすくなる年収と借入バランス

審査に再挑戦する際、まず取り組むべきは「借入総額の圧縮」と「キャッシュフローの健全化」です。銀行が求める理想的なバランスは、一言で言えば「余裕」です。もし年収700万円で、住宅ローンと車のローンで合計4,000万円の借入がある場合、これ以上の融資を引き出すのは至難の業です。この場合、まずは車のローンを完済し、不要なクレジットカードを解約することで、あなたの「借入枠」を物理的に空ける作業を最優先してください。

また、年収を「正しく出す」ことも重要です。節税のために過剰な経費計上をしている場合は、次の確定申告では「正しく利益を出し、税金を払う」ことで、銀行から見た返済能力を高める必要があります。「税金を払いたくないから赤字にする」という思考は、融資を受けたい投資家にとっては最大級の障害となります。

さらに、家族(配偶者)の属性を合算する「合算融資」も検討に値します。配偶者が正社員として働いている場合、連帯保証人または連帯債務者となることで、世帯全体の年収で審査を受けることができ、借入可能額を大幅に伸ばせる可能性があります。

理想的な財務バランス
  • DSR(返済比率)の抑制
    既存の全てのローン返済を年収の25%以下に抑えるのが理想。35%を超えると赤信号。  
  • 金融資産の蓄積
    預金だけでなく、積立NISAやiDeCoなどの運用実績も、将来の備えとして一定の評価を得られる。  
  • 確定申告書のクレンジング
    3期分の確定申告書を「黒字」で揃えることが、2棟目以降の融資における必須条件。

住宅ローンと不動産投資ローンの違いを理解して対策する

住宅ローンを既に持っていることは、不動産投資において「諸刃の剣」です。一方で「住宅ローンの審査に通った」という実績は一定の信用になりますが、他方で「巨額の負債を抱えている」という事実は、投資用ローンの枠を削ります。住宅ローンは個人の給与から支払われる「コスト」であり、不動産投資ローンは家賃から支払われる「事業」であるという違いを、改めて深く理解しなければなりません。

成功するサラリーマン投資家の多くは、この「借りる順番」を戦略的に考えています。理想的なのは、先に不動産投資ローンで収益物件を手に入れ、その家賃収入で自分の属性を強化してから、最後に住宅ローンを組むという流れです。しかし、既に住宅ローンがある場合は、その物件がいかに「資産価値が高いか」を証明しなければなりません。

具体的には、現在の自宅の売却想定価格を査定し、ローン残債よりも売却価格が高い「アンダーローン」の状態であることを示す資料を提出します。これにより、銀行は「この人は家を売れば借金を完済できる余裕がある」と判断し、投資用ローンの審査を有利に進めてくれるようになります。

住宅ローン保有者の改善策
  • 繰り上げ返済の実施
    少しでも残債を減らし、返済比率(DSR)を改善する。  
  • 自宅の査定書の提出
    不動産一括査定サイトなどを利用し、自宅に含み益があることを可視化して銀行に提示する。  
  • 賃貸併用住宅への検討
    これから家を買う場合は、自宅の一部を貸し出せる構造にし、住宅ローンを使いながら収益を得る手法も有効。

金融機関ごとに異なる審査基準を知っておく重要性

銀行は一律の基準で動いているわけではありません。時期によって「融資を増やしたいエリア」や「好む物件種別」が刻一刻と変化しています。一度断られたのは、あなたの属性が悪いのではなく、単にその銀行の「今の好み」に合わなかっただけかもしれません。この「マッチング」こそが融資の成否を分ける最大の要因です。

特に、メガバンクは「1億円以上の新築・築浅RC物件」を好みますが、地方銀行は「地元エリアの中古アパート」に強みを持っています。さらに信用金庫は、数字だけでなく「あなたが地元でどのような活動をしているか」という属地性を重視します。自分の属性(年収、勤務先、居住地)と、購入したい物件の場所、そして銀行の営業エリア、この3点が重なる場所を探し出すことが「融資の必勝法」です。

金融機関の種類ターゲット層審査の傾向メリット
メガバンク年収1,000万超、大企業属性・物件ともに最高水準を要求金利が最も低い(1%前後)。
地方銀行地元の居住者・公務員居住地と物件所在地の一致を重視比較的規模の大きい融資に柔軟。
信用金庫地域密着、小規模事業経営者の人間性や事業計画を評価属性が多少低くても交渉の余地あり。
ノンバンク幅広い層、初心者物件の収益性(数字)を最重視審査が非常に早く、融資枠も出やすい。

参照元:日本政策金融公庫:不動産賃貸業向け融資

物件選びが原因で審査に落ちる意外な落とし穴

どれほどあなたの属性が素晴らしくても、購入しようとしている物件自体に問題があれば、審査は通りません。銀行は、あなたが返済できなくなった際に物件を差し押さえ、競売にかけて資金を回収します。そのため、売却してもお金にならないような物件には、一円も貸してくれません。物件の「担保価値」を無視した投資は、最初から詰んでいるのです。

特によくあるのが「法定耐用年数」の問題です。木造アパートなら22年、RC造マンションなら47年と決められており、多くの銀行は「融資期間=耐用年数 - 築年数」というルールを持っています。築30年の木造アパートを買おうとしても、残りの耐用年数がないため、融資期間が1年や2年になってしまい、現実的に購入が不可能になるのです。

また、再建築不可物件、借地権物件、違法建築(容積率オーバー)などは、担保評価が極端に低くなるため、よほど自己資金を入れない限り、審査の土台にすら乗りません。

物件評価を下げる主な要因
  • 法定耐用年数オーバー
    融資期間が短くなり、毎月の返済額が家賃収入を超えてしまう「デッドクロス」の原因になる。  
  • 既存不適格・違法建築
    現在の法律に適合していない物件。大手銀行はコンプライアンス上、融資を原則拒否する。  
  • 過疎地・境界不明・接道不良
    将来の買い手が見つからないエリアや、法的リスクを抱える土地は評価がゼロになることもある。

自己資金が少なすぎる場合の現実的な改善方法

「頭金ゼロで不動産投資」という甘い言葉が流行った時期もありましたが、今の融資環境でそれを信じるのは危険です。銀行が自己資金(頭金)を求めるのには、2つの理由があります。1つは、物件価格の下落に備えた「バッファ(ゆとり)」、もう1つは、あなたの「貯蓄能力の証明」です。

年収1,000万円あっても貯金が100万円しかない人は、「入ってきた分だけ使ってしまう、計画性のない人」とみなされます。逆に、年収500万円でもコツコツと500万円貯めた人は、非常に高く評価されます。審査に落ちたのであれば、まずは「物件価格の2割+諸費用分(約7%)」の現金を貯めることを目標にしてください。

自己資金が増えれば、借入額が減り、DSR(返済比率)が劇的に改善します。これまで「否決」だった銀行から「この条件なら貸せます」という逆提案を引き出すことも可能になります。

自己資金を確保するメリット
  • キャッシュフローの安定化
    借入額が減ることで、毎月の返済額が抑えられ、手元に残る現金が増える。  
  • 金利優遇の引き出し
    自己資金を多く入れることは、銀行にとってのリスク軽減になるため、金利交渉がしやすくなる。  
  • 融資承認率の劇的な向上
    「2割の頭金」を提示すれば、これまで門前払いだった地銀や信金も真剣に検討を始めてくれる。

サラリーマンが審査前に必ずやるべき事前準備チェック

融資審査は、申し込みボタンを押した瞬間に始まるのではありません。その数ヶ月前からの準備が勝敗を分けます。銀行が「この人なら安心だ」と思えるだけの完璧な資料セットを事前に用意し、隙のない状態を作り上げましょう。

書類の質は、あなたの「投資家としての知性」を象徴します。源泉徴収票をただ渡すのではなく、過去3年分の年収推移をグラフ化した表を添える。物件の概要書だけでなく、自分で周辺の家賃相場を調査した「競合比較表」や、大規模修繕の計画書を自作する。こうした「銀行員の手間を減らす努力」ができる人は、審査において圧倒的に有利になります。

審査前のセルフチェックリスト
  • 信用情報の開示
    CICで自分の情報を確認し、延滞記録や不要なキャッシング枠がないかチェックする。  
  • 納税証明書の確認
    所得税、住民税、社会保険料の支払いに1日の遅れもないことを確認する。  
  • 家計のB/S(資産負債表)作成
    預金、株、保険、不動産、ローンをすべて網羅し、自分の純資産を可視化する。  
  • 事業計画書の作成
    単なる業者のシミュレーションではなく、空室率や金利上昇、修繕費を見込んだ「ストレステスト」を含めた計画を立てる。

不動産投資の審査に落ちた人が次に取るべき行動【まとめ】

不動産投資の審査落ちは、決して終わりではありません。むしろ、銀行からの「今のままではリスクが高いですよ」という貴重な警告だと捉えましょう。まずは信用情報を開示して自分の現状を知り、家計の見直しや物件選定の基準変更を行うことで、道は必ず開けます。最後に、この記事の重要ポイントを整理します。

【まとめ】

  • 年収の額よりも「収入の継続性と安定性」が重視されることを理解する
  • 勤続年数が2年未満の場合は、キャリアの継続性を証明する詳細な職務経歴書を用意する
  • CICで自分の情報を確認し、キャッシング枠や不要なカードは事前にすべて解約する
  • 車のローンやリボ払いは「完済証明書」が出るまで徹底的に整理し、返済比率を空ける
  • 税金や社会保険料の滞納は、1円であっても審査において致命傷となることを自覚する
  • 銀行ごとに異なる「融資の好み(エリア・物件種別)」をリサーチし、最適な窓口を選ぶ
  • 物件の法定耐用年数と担保評価を冷静に分析し、銀行が評価しやすい物件にターゲットを変える
  • 物件価格の2割程度の自己資金を貯め、銀行に対する「誠実さと経営計画」を証明する
  • 提出書類を完璧に整え、担当者から「信頼される経営者」としての振る舞いを心がける
  • 一度の否決で諦めず、属性を改善しながら複数の金融機関へアプローチし続ける

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